先生の教科書

男の足は、真っ赤に充血して膨れ上がっていた。

一体何に足をぶつけたらこんな風に腫れ上がるのだろう…。

素人から見ても、骨がどうにかなっているんぢゃないかと思うくらい重傷だ。

ていうかよく一人で支え無しで保健室まで歩いて来たものだと感心さえしてしまう。


『…っつ。てかマヂ痛てぇ…。』

男が独り言なのか、呟くように痛みを訴えた。

そりぁ、マヂに痛いだろう。

あたしは、面倒な事に関わり合いたくないが為に傍観する体制でいた。


『あ゛ー!!!マヂ痛てぇ!!!何で先生居ねぇんだよ!!!仕事しろよー!!!な!!?そう思わね???』

男は大きな声でふざけた様に言い放ち、あたしに向かって笑いかけた。

いくら平然を装ったところで額に浮かぶ脂汗が彼が平気では無い事を窺わせる。