裕福な家に生まれれば裕福に暮らせるが、貧乏に生まれれば貧乏に暮らす。


たとえ貧乏を抜け出せたとしても、また、新たな地獄がやって来る。


この物語は、そんな不幸な者のお話かもしれない。



ここは、20世紀初頭のニューヨーク、ブロードウェイ近くのマンション(2階)。



「マズい!


こんな時間か!」


この人は、この部屋を事務所兼自宅として借りている探偵、ハーキュリー・アタリ。


通称キュリー。



黒に近い茶髪、バクハツ頭、ズレたメガネが特徴(これらはこだわりがあるらしい)。



若干変人。



そこに、人が訪れた。