オレの知る限り、須原サンは普通に暮らしていた。
日本での平和な生活に馴染んでいた。

違和感など全くなかった。

「でも・・・兄は・・・酷いです。ボクや、両親を見捨てて自分だけ地球で」

「いきなりどうした?」

オレの心の中を読んだ、ということだろうか。

日本での平和な生活、というフレーズがサムトを悲しませてしまったのかも知れない。
頭の中とは言え、安易に軽はずみなことを考えられない。

全く以って面倒くせえ星だ。

「サムト。なるべくオレの心を読むな。うざい」

「え? ボクは人の心を読むことはできません」

「はあ?」

「兄はそういう能力に優れていましたけど、ボクにはそんな能力は全くありません」

「全てのキルジャ人に備わってる力とちゃうのか?」

「はい。ボクは昔から何につけても鈍い子供でしたし」

「よく分かる」