「し・・・死んでいるのか?」

「いや。しかしオマエの答え方によっては死ぬかも知れん」

「はあ?」

「最後のチャンスだと思え。リュイから預かったものをどこへ隠した?」

「そやからリュイなんて知らねえし、知らねえ人間から預かるものなんてあるわけないやろ」

殴られる・・・・と思って目を閉じた。

「ぎゃあ!」

しかし聞こえてきたのはサムトの悲鳴だった。

「なッ・・・・何を?」

サムトの腹に長いサーベルのような剣が刺さっていた。

「何すんねんな」

「どこへ隠した?」

「そやからホンマに知らんのや。勘弁してくれよ」

兵隊は一旦サーベルをサムトの体から抜き、別の箇所に突き刺した。

サムトの口からは悲鳴と言うより、呻き声しか出なかった。

「やめてくれよ。頼むよ。死んじまうやろ。頼むよ」

「吐け」

「知らねえよ。嘘やないねん。信じてくれよ。サムトを助けてくれよ」

泣きたい気分だった。
だが泣いている場合ではない。
苦しいのはオレよりサムトのほうだ。
オレの傷なんかたかがしれている。
オレが弱音を吐いている場合ではない。
 
そのときだった。

「何の騒ぎだ?」

聞き慣れた声がした。
ミドリの声だ。