「ほかに家族は?」

「いません。両親は2年前の爆撃で死にました」

ハラワタが煮えくり返る思いがした。
こんな理不尽が通用して良いのか。
のうのうと生きている王族に怒涛のような恨みさえ覚えた。

「兄は国王を殺すつもりでした。今でもその気持ちは変わらないと思います。だからボクが・・・猟サン。どうか兄の遺志を、兄の無念を」

「オレにそれができると言うのやな?」

「はい。だから兄は猟サンに」

「分かった。須原サンの遺志、オレが受け継いだ」

「ありがとうございます」

「ミドリの家はどっちや?」

「え?」

「国王の家はどこや?」

「宮殿のことですね?」

サムトは小さな窓を開けて東の空を指差した。
高い建物は全て崩壊しており、視界はかなり遠くまできいた。
そして、はるか彼方に、ディズニーランドを思わせる城が聳え立っていた。

「あれやな」