「ボク、サムト・バーンといいます」
「バーン?」
オレは座り直した。
「はい。ペイジャック・バーンの弟です」
須原フミオの弟。
そういえば整った顔だちがどこか似ている。
「兄は2年前の戦いで死んだと聞かされていました。アロン部隊の家族が戦場に呼ばれ、遺体の確認をさせられました。もちろん遺体は人間の形をとどめてはいませんでした。ボクたちはその肉片の中から本人が身に付けていたアクセサリーなどを探し出し、それで本人と確認しました。兄の名を刻んだペンダントもみつかったのです」
サムトが無表情で淡々と語った。
どちらかと言えば野性的だった須原サンとは正反対の雰囲気だ。
「ところが先月、兄が生きていると国王軍から連絡を受けました。しかも兄はお后様を殺して逃亡中だということも。ボクは何かの間違いだと思いました。兄が生きていることは嬉しいのですが、兄がお后様を殺すはずありません。絶対にありません。ボクは兄を捜しました。軍より先に見つけ出さないと、兄は殺されてしまいます。だから必死で捜しました。だけど昨日・・・兄がボクのところへやって来たんです。勿論、本人ではありません。幻でした。だけどその幻がボクに言ったんです。猟サン、アナタを訪ねて行けと」
「須原サンが?」
「死んでしまったんですね兄は・・・兄の幻を見た時、そう思いました。ボクは、兄を捜し出せなかった。生きている兄に会えなかった。悔しいです」
うつむいたサムトの頬を涙が落ちた。
「バーン?」
オレは座り直した。
「はい。ペイジャック・バーンの弟です」
須原フミオの弟。
そういえば整った顔だちがどこか似ている。
「兄は2年前の戦いで死んだと聞かされていました。アロン部隊の家族が戦場に呼ばれ、遺体の確認をさせられました。もちろん遺体は人間の形をとどめてはいませんでした。ボクたちはその肉片の中から本人が身に付けていたアクセサリーなどを探し出し、それで本人と確認しました。兄の名を刻んだペンダントもみつかったのです」
サムトが無表情で淡々と語った。
どちらかと言えば野性的だった須原サンとは正反対の雰囲気だ。
「ところが先月、兄が生きていると国王軍から連絡を受けました。しかも兄はお后様を殺して逃亡中だということも。ボクは何かの間違いだと思いました。兄が生きていることは嬉しいのですが、兄がお后様を殺すはずありません。絶対にありません。ボクは兄を捜しました。軍より先に見つけ出さないと、兄は殺されてしまいます。だから必死で捜しました。だけど昨日・・・兄がボクのところへやって来たんです。勿論、本人ではありません。幻でした。だけどその幻がボクに言ったんです。猟サン、アナタを訪ねて行けと」
「須原サンが?」
「死んでしまったんですね兄は・・・兄の幻を見た時、そう思いました。ボクは、兄を捜し出せなかった。生きている兄に会えなかった。悔しいです」
うつむいたサムトの頬を涙が落ちた。


