ミドリが国王の病室を見舞ったので、オレとサムトは廊下で待っていた。

「ラルフ・・・おお、ラルフ。戻ってきてくれたか」

「お加減はいかがですか?」

「オマエはワシの生きがいじゃ。オマエがいない人生など考えられぬ」

「父上。何を気弱になっておられる? 少し休めばすぐに良くなるとドクターが」

「ラルフ。鍵はどうなった?」

「そんなもの、また作ればよいじゃないですか」

「そうは行かぬのじゃ」

「なぜですか?」

「そうは行かぬのじゃ」

「だから、どうして?」

「オマエにだけは本当のことを話そう。2年前のクーデターでワシは瀕死の重症を負ったのじゃ」

「はあ? 何をおっしゃいますか」

「助かる方法が1つだけあった。ワシと同じ血液型を持つ健康な人間の心臓を移植して、それを元に人工生命維持装置を作ることだった」

「健康な人間の心臓で?」