ミドリは簡単にオレの手を振り払った。

有り得ない。

オレは喧嘩が強い。
殴り慣れている。

「や、やるじゃねえか」

もしかしたらこの男、オレより強いかも知れない。
本能的にそう感じた。
何度も言うがオレは喧嘩が強い。
場数も踏んでいる。
だからあとには引けない。

「や、やるじゃねえか」

同じセリフを繰り返した。
いや、本当は繰り返したことに気づいていない。

パンチがダメなら腹に蹴りを見舞ってやろう。
そう思った瞬間、物凄い衝撃がオレの腹に来た。
オレの体は宙に舞い、校門のフェンスに激しくぶつかって落ちた。

そしてそのままオレは意識をなくした。

「総長だなんていうから、もう少し強いのかと思って、少しだけ本気を出してしまった」


★※・・☆:・・★*・・☆


どうやってココにたどり着いたのか知らないが、気が付くとオレはミドリのアパートで眠っていた。

「あ、気が付いた? 良かった」

ミドリが二コリと笑った。

体を起こすと、腹がまだズキズキ痛んだ。