オレたちはまた川べりを歩き始めた。

須原サンのアパートはパチンコ屋と車検工場に挟まれた小さな一角にある。
風通しが恐ろしく悪い。
無用心なことに、須原サンの部屋の鍵はあいたまま、1ヶ月も放置されていた。
部屋の様子を語るなら、泥棒だって見向きゃしない、そんな部屋だ。

「こんな陰湿な部屋に兄は・・・」

サムトはゆっくりと部屋を見回した。

「おい、何か匂わねえか?」

クサい。

埃の匂い? 

カビの匂いか? 

いや、生ゴミの匂い。

魚が焦げる匂いかも知れない。

それとも血の匂い。

「ぎゃあああああ!!」

サムトがオレの腕にしがみついた。

「な、何やねんなッ」

「あれ、あれ・・・」

サムトが色あせた畳を指差した。

じっと見た。

次の瞬間、目を疑った。