オレは両親が安置されている寺へ足を向けた。
今まで一度も参ったことなどなかった。
考えてみれば随分と親不孝な息子だ。
「何やて~!」
オレは思わず叫んだ。
叫ぶしかなかった。
「じょ、冗談も休み休み言えよクソ坊主! なんでお袋の遺骨がないねん? 羽生家には墓がないねんぞ。親父の遺骨がココにあるんやったら、お袋の遺骨かてココにあるはずやんけ!」
「ホンマにないもんはないのや」
「嘘こけ! バアチャンは毎月欠かさず親父の好きだった酒と、お袋の好きだったイチジク持ってココに来てたんやぞ。オレは来たことないけど、バアチャンは毎月来てたんやぞ」
「そやけどないもんはないねん」
「あ~! 失くしたな! お袋の骨、オマエ、なくしたやろ? 正直に白状せい!」
「バカを言うでないわい。心外な」
「ほな、お袋はどこ行った?」
今まで一度も参ったことなどなかった。
考えてみれば随分と親不孝な息子だ。
「何やて~!」
オレは思わず叫んだ。
叫ぶしかなかった。
「じょ、冗談も休み休み言えよクソ坊主! なんでお袋の遺骨がないねん? 羽生家には墓がないねんぞ。親父の遺骨がココにあるんやったら、お袋の遺骨かてココにあるはずやんけ!」
「ホンマにないもんはないのや」
「嘘こけ! バアチャンは毎月欠かさず親父の好きだった酒と、お袋の好きだったイチジク持ってココに来てたんやぞ。オレは来たことないけど、バアチャンは毎月来てたんやぞ」
「そやけどないもんはないねん」
「あ~! 失くしたな! お袋の骨、オマエ、なくしたやろ? 正直に白状せい!」
「バカを言うでないわい。心外な」
「ほな、お袋はどこ行った?」


