コスミックダスト-戦塵の宮殿

「前来たときは誰もいなくて静かだったのに! なんで今日はこんなに沢山の人がいるのー? 信じられな~い!」

「試合があるから当然やんか! 何考えてんねんドアホ!」

「ど~しよ~?」

「知るか! テメーで何とかせい!」

「もう! だから日本は嫌いだ!」


S艦は葛城山の中腹に着陸した。
樹木はなぎ倒され、辺りはモンモンと砂煙に包まれた。
不時着と言ったほうが正しいような気がする。

「オマエ、操縦の免許、持ってんの?」

「場所が狭すぎるんだ」

だが乗客にケガはないようだ。

「とにかくペイジャックのアパートへ急ごう」

ミドリはS艦を降りた。

「おい、コレ。ココに放っといてもええねんか?」

「勝手に帰っていくから」

「すげえな」
 
それにしても緑豊かな山だ。
と言うとのどかな大自然を想像するだろうが、要するに人の歩く道がない。
はっきり言って遭難状態だ。
町へ降りていくのは至難の技だ。

「さあ歩こう。日が暮れちまうぞ」

ミドリは元気に歩き出した。