コスミックダスト-戦塵の宮殿

通された部屋の入り口には 「王室」 と書いてあった。
国王の執務室だろうか。
20帖ほどの部屋。
朱の布に金銀の刺繍が施された奥行きの深い、趣味の悪いソファ。
そこに三回忌セレモニーの休憩に入った国王がドッカリと座っていた。

ほぉ。これが国王か。
時代劇で言うなら悪代官そのものの顔だ。
こんな顔が善人のわけないだろう。

「地球ではラルフが世話になったそうじゃな。礼を言うよ」

国王が偉そうな態度で言った。

「礼なんかいらん。父親面したセリフなんか吐くんじゃねえよ」

「どうじゃ羽生君。鍵の在り処を素直に話してはくれぬか?」

「話すわけないやろドアホ」

「ラルフの友達というからあまり手荒なマネはしたくなかったんじゃが」

「もう十分されたわい」

「今までのことは手荒なうちには入らぬ」

「なるほど。狂った星やな」

「秩序を乱す者には厳しい星かも知れん」

「秩序の意味わかっとるんかいな? 罪のない人間を虫けら同然に殺しやがって。それで秩序もヘッタクレもあんのかよ! 笑わせるな!」

「法を破る者の命など虫けら同然じゃ。殺されるほうに罪があるのだ」

「何やと?」

「オマエに秩序の説明をしているヒマはない。早いとこ鍵の在り処を申せ」

「さあね」

「素直に白状しないと後悔するぞ」

国王はシェラ大佐の腰に差してある短剣を抜き、壁際に立っているサムトめがけて振り下ろした。