「ミドリを恨むのは間違っている」

「猟サンはなぜ王子の味方なのですか?」

「違う。オレたちはみんな仲間やねん。みんな何らかの哀しみを背負って生きている仲間やんか」

と言ってもオレには背負う哀しみなどないが。

「そうですよリズミーさん」 

サムトが言った。

「本当に悪いのは国王と軍です。王子ではありません」

「サムトさんは悔しくないのですか? ご両親やお兄様を虫けら同然に殺されて、それなのに王族に憎しみを抱かないのですか? それが本心なのでしょうか!」

「憎みました。殺したいほど恨みました。だけどラルフ王子は心の優しいお方だった。ボクたちの気持ちを理解してくれる、数少ない王族なんです!」

「王族なんて同じです!」

「分かってあげて下さい! 許してあげてください!」

サムトの真剣な目。
オレはそんなサムトの姿に感動を覚えた。

「くううううぅぅぅ、よくぞここまで成長してくれたじゃねえか坊主。お兄チャンは嬉しいぞホンマ」

オレはサムトを抱き締めた。