コスミックダスト-戦塵の宮殿

「国王様はご自分のために鍵をお使いになるつもりでした」

リズミーが言った。

「父上のために? 父上が何のために?」

「国王様はご自分さえ良ければそれで満足なされるお方です。母は恐らく、鍵の使い道を知ってしまったんだと思います」

「父上は何に使うつもりだったのだ? そうなると誰かに迷惑がかかるのか?」

「だから母はそれを阻止したのではありませんか?」

それは有り得る。

「リズミー、お願いだ。リュイは何を知っていた? 父上は何をしようとしていたのだ?」

「ワタクシには分かりません。母は何も言わずにワタクシの前からいなくなりました。ワタクシに分かるはずないじゃありませんか。アナタ方が母の口封じをしたくせに、ワタクシに分かるはずないじゃありませんか!」

「リュイは死んでいるのか?」

「アナタ方王族は、ご自分たちさえ豊かに暮らすことができれば、国民などどうなっても構わないと思っていらっしゃるんです! 王子は17にもなって、何も知らなかったで済ませるおつもりですか? 卑怯なお方です」

「リズミー。それは違う」

なぜかオレは、これ以上ミドリを責める言葉を聞きたくなかった。