コスミックダスト-戦塵の宮殿

それからオレは眠ることができなくなり、夜風に当たろうと外に出た。

氷点下15度、と夕方のラジオで言っていた。
大阪に住んでいるオレとしては有り得ない気温だ。

中庭や正門前と違い、ココはあまり手入れが行き届いていないようだった。
それでも不思議なことに、この寒空の下、青々とした芝生が生い茂っていた。

「バアチャン・・・どないしてるやろか」

オレは建物の陰にひっそりと咲く花を見ながら独り言を呟いてみた。
祖母は花が好きで、60歳を超えてから近所の文化センターでフラワーアレンジメントを習い始めた。
天国へ召される前に何らかの資格を取ってやると、祖母は意気込んでいた。

60歳と言えば、丁度オレがクライシスに足を突っ込み始めた時期と重なる。

花が好きだった、というのは単なる口実で、本当はオレが暴走族と関わるようになり、寂しかったのかも知れない。