いや。
オレは母の声など知らない。
母の記憶は何ひとつない。
だけど、これは間違いなく母の声だ。
目の前に居るのは、写真でしか見たことないが、オレの母だ。
オレと母が一緒に写っている写真は1枚しか残っていない。
確か自宅の庭先で日光浴をしていたときに祖母が撮ってくれたものだ。
オレはまだ8ヶ月だったのでそのときのことは記憶にないが、祖母がそう説明してくれたのを覚えている。
その直後に母は病死したと、祖母は言っていた。
目の前に立っている母はあの時のままだ。
黒いロングヘアに白いワンピース姿。
自分のお袋ながら可愛いと思う。
「どないした?」
オレは思わず母に尋ねた。
すると母の目から涙が溢れた。
「お、おい・・・幽霊が泣くなよ」
オレはその場にあったハンカチを母に差し出した。
「拭けよ、涙」
「猟・・・・・・」
母がハンカチに手を伸ばした。
指がハンカチに触れようとした瞬間、母がハンカチを透り抜けた。
オレは母の声など知らない。
母の記憶は何ひとつない。
だけど、これは間違いなく母の声だ。
目の前に居るのは、写真でしか見たことないが、オレの母だ。
オレと母が一緒に写っている写真は1枚しか残っていない。
確か自宅の庭先で日光浴をしていたときに祖母が撮ってくれたものだ。
オレはまだ8ヶ月だったのでそのときのことは記憶にないが、祖母がそう説明してくれたのを覚えている。
その直後に母は病死したと、祖母は言っていた。
目の前に立っている母はあの時のままだ。
黒いロングヘアに白いワンピース姿。
自分のお袋ながら可愛いと思う。
「どないした?」
オレは思わず母に尋ねた。
すると母の目から涙が溢れた。
「お、おい・・・幽霊が泣くなよ」
オレはその場にあったハンカチを母に差し出した。
「拭けよ、涙」
「猟・・・・・・」
母がハンカチに手を伸ばした。
指がハンカチに触れようとした瞬間、母がハンカチを透り抜けた。


