２年前、一体この宮殿の中で何が起きたというのだろうか。

発端は王妃の死だろうか。

王妃が死んだから須原サンが犯人に仕立てられたのか、須原サンを犯人に仕立てるために王妃を殺したのか。

いずれにせよ、独裁国家で王妃を殺したら、犯人は即刻死刑だろう。
第三者がそんな重罪を犯すだろうか。
やはり国王の指示と見て間違いないような気がする。

なぜ王妃は殺されたのだ？　

国王に新しい女が出来たのか？　

いや、恐らくもっと重大な何かが原因だろう。

須原サンは王妃殺しの真相を知っていたと見て間違いない。
どうやって知り得たのだろうか。

リュイだ。

須原サンとリュイは何らかの関係にあった。

どんな関係だ？　

リュイはリズミーの母親だ。
普通に考えて須原サンと恋に陥ちるような年齢ではない。

だったら昔からの知り合いか？

それにしてはやはり年が違い過ぎる。

そうか。
士官学校か。

須原サンは士官学校に通っていた。
つまり、軍人になるための学校だ。士官学校の学生ならば宮殿に入ることがあるかも知れない。
そこで須原サンはリュイと知り合ったのだ。