「母が宮殿で働いていました」

「いました?」

「2年前に亡くなりました」

「はあ?」

2年前って、ココに来てから何度も聞かされた数字だ。
もしかして、リュイというオバサンが母親か?

「そうです」

「死んだのか? ミドリは、リュイは居なくなったと言っていたが、死んだのか?」

「ほかに何が考えられますか? 母は殺されたんです」

兵隊たちは最初に「リュイから預かった物を返せ」と言った。
それが鍵だということは分かった。
となるとリュイは軍に殺されたわけではない。
リュイは鍵を盗み出して逃亡した、ということになる。

「ベッドメイクが完了致しました。ごゆっくりお休みくださいませ」

リズミーはお辞儀をしてさっさと出て行った。

「ちょ、ちょっと待てや。もう少し話そうぜ」

だがリズミーの姿は既に部屋にはなかった。