仕方ないか。六川先生は、どれだけ穏やかに笑ってても、ちっとも底が見えないから。

それが謎めいてて良いんだって言う子もいれば、何考えてるかわからないって敬遠する子もいる。


 わたしはただ、時々話すつまらない悩み事を、やさしい目をして聞いてくれる六川先生が好きなんだけどな。


「そろそろいい時間ですね。図書室を閉めますので、眞井さんに声をかけてきてもらえますか?」

「あ、はい。わかりました」


 図書室の時計は、まるで誰かがいたずらに針を回してるみたいに、時間の流れを早く感じる。


それでもやっぱり、レンと一緒にいる時間の方が、何十倍何百倍の速度で過ぎてくように思えたんだ。