その透き通る手で

でも。


捜索隊がひとりからふたりになったからって、急に見つかるかといえばそんなわけもなかった。





「もーどこにいるのよー! レンのバカヤロー!」


わたしがおごったジュース片手に、眞井が夕日に向かって吠えた。


学校を出た頃はまだ高い位置にあった太陽が、ビルの合間にゆうるりと消えていく。

高台にある公園から見る、まるで燃えているような空はとても綺麗だった。



レンもどこかで、この空を見てるのかな?



……って、友達が横でとんでもないことをしてるのに、乙女してるわたしもどうなんだろう。


「ごめんね眞井。大変なことに付き合わせちゃって」

「気にしてないから、全然いいよ」

「でも、眞井が叫ぶなんてよっぽどだし……」


大きな声を出すならまだしも、バカヤローだなんて。
六川先生が聞いたら、きっと目を丸くするだろうな。


「こうやって大声で名前呼んでたら、もしかしたらレンにも聞こえるかもしれないじゃない」


それって、上手くいっても恥ずかしいよ。
ものすごーく。


だけど、わたしのために眞井が頑張ってくれてること、『恥ずかしいから』って理由で止めるなんて出来ないよ。