困ったように微笑んでいるタルの胸元で、牙の首飾りが光っている。
村人はポツリと言った。
「素敵な首飾りですね」
タルは牙を持つと、愛おしそうに指先で撫で、舌なめずりをする。
「ええ、だって“私の牙”ですから」
唇から出入りする長く細い舌を見た村人は恐怖を覚え、凍りついた。気にせずタルは続けた。
「ずっと探していたのです。大昔に取られた私の牙がどこにあるのか……たくさんの村を転々として、やっと見つけました。取り返すのに苦労しましたよ」
にっと歯列を見せると、タルには歯が一本欠けている個所があった。
おそらくそれが、その首飾りの牙なのだ──。
村人は悟った。
『大蛇はタル』……彼自身なのだと。
End.


