13月32日と25時の昼夜


 困ったように微笑んでいるタルの胸元で、牙の首飾りが光っている。


 村人はポツリと言った。


「素敵な首飾りですね」


 タルは牙を持つと、愛おしそうに指先で撫で、舌なめずりをする。


「ええ、だって“私の牙”ですから」


 唇から出入りする長く細い舌を見た村人は恐怖を覚え、凍りついた。気にせずタルは続けた。


「ずっと探していたのです。大昔に取られた私の牙がどこにあるのか……たくさんの村を転々として、やっと見つけました。取り返すのに苦労しましたよ」


 にっと歯列を見せると、タルには歯が一本欠けている個所があった。
 おそらくそれが、その首飾りの牙なのだ──。



 村人は悟った。


 『大蛇はタル』……彼自身なのだと。















End.