「あ……は、はい……」
シフォは震える手でよろよろとかばんから手紙を取り出し、
お姉さんにわたしました。

「うん。ありがと。お仕事がんばってね」

「こ、今後も是非よろしくお願いします!」
シフォは、ペコリと小さな体をさらに小さくなるように
お辞儀をすると、お姉さんは微笑みながら、お花屋さんのほうへ
戻っていきました。

今日も、その出来事のことだけで頭がいっぱいで、
まともに仕事ができるのか心配になりながら、シフォは
手紙を配り終えると、郵便局の方へ帰っていきました。


「あ、シフォ君おかえり」
入り口に入ると、シフォと同年代の女の子がいます。
彼女は、シフォと同じく郵便配達をしている女の子でして、
ローズといいます。

「あ、うん」
シフォは、そっけなく答えてしまいます。
「どうしたの?具合が悪いの」
「え?大丈夫だよ……」

「そう?じゃあいいけど。ねえねえ、
今日のお昼はスパゲティナポリタン食べましょ」


シフォと同年代なのは、ローズだけということもあってか、
お昼はいつも一緒に食べています。周囲の人からは、
恋人どうしというよりは仲のいい兄妹のように見られています。