零side


まさか山炭がいるとは思わなかった…。


鳴海ちゃんしか興味なかったからクラスのみんなの名前を覚えてなかった。


ヤバい…。


このことを早く瑠衣たちに言わなきゃ。


「零くん?どうしたの?」


はっ…


僕は鳴海ちゃんの方を向いた。

変わらない…いつもの鳴海ちゃん、だけど心配した顔。


ホントに昔からこの子に助けられてばかりだ…。


いつも不意に現れて僕たちを助けてくれる。


だから、今度はぼくたちの番なんだよ…鳴海ちゃん。


「零くん?」


「鳴海ちゃん、山炭には近づかないでね…」


あいつはダメだ…。鳴海ちゃんを近づかせたくない。


「どうして?」


「どうしても、僕からのお願いだよ」


「うん、分かった」


ほっ…。


何も聞かれなくて良かった。


もし聞かれたらなんて言えばいいんだろう…。