零side


僕もおしと良しだな…。


走って行く鳴海ちゃんの後ろ姿を見ながらそう思った。


好きだからこそ幸せになってほしいって思う反面、僕が幸せにしてあげたかったって思ってしまう。


鳴海ちゃんが僕のことを好きじゃないのは分かってる。


だけど、それでも好きだったんだ…。


鳴海ちゃん、まだ少し好きでいさせてくれるかな?


やっぱり、アイツには勝てないな…。


まぁ、鳴海ちゃんを幸せにしなかったら僕がもらうからいいけど…。


だけど、それでも好きでいるんだろうな…鳴海ちゃんは…。


そういう子だから。


「好きだよ…」


僕は小さな声でそうつぶやいた。