イタル~another day~

「少し前までは、この辺りの中心地はこの界隈だったんだ。港ももっと賑わってたらしいよ」

玲ちゃんは被っていたヘルメットを脱ぐと、
手櫛で髪をなおしながらそんなことを言った。

二人分のヘルメットを手に持って、
玲ちゃんの後から門をくぐると
少し奥の屋敷の前に停められた外車からひとが
降りているところだった。

森さんと

奥さんだろうか?
白髪まじりの女性と


そして、りゅうじくん。

門から入った玲ちゃんに、
彼が真っ先に気が付く。

「ママー」
と声を出して駆けて来る。

駆け寄ったりゅうじくんを、
しっかりと抱きしめた玲ちゃんは

その様子を車を降りたところから立ちすくむように眺めていた森さんに向けて

ゆっくりと頭を下げた。