〜彼方side〜
――――パタン
ドアが閉まり、蒼空のたんたんとリズムの変わらない足音が小さくなっていく。
俺は今にも叫び出したい衝動を必死にこらえていた。
だって、今日蒼空の家に入れたのだけでも奇跡的なことなのに…その上。
「完璧やなぁ…蒼空チャン」
目の前でボソッと咲斗が机にひじをつきながらそう言った。
「あげねーよ」
俺はにやつく咲斗を横目で睨んだ。
「今は彼方のじゃあらへんやん」
「…今は、な」
…いくら咲斗でも蒼空は絶対渡さねー。
「――…はいはい勝手にノロケるのは別に構わないんですがー。会話筒抜けですよー?」
突然聞こえた魅歩の棒読みな声に、ここに女たちがいたことを思い出す。
はっとして咲斗の方を向けば…
「…おい咲斗…てめぇコラ…こっち向けや…」

