ブランコ





「おー…やっと来たか」

「おぉ!みんなさすがや。朝からバッチリきまっとるな〜」

「当たり前じゃーん☆」


綺亜羅は笑ってそう言ってから、はい!っと手に持っていた袋を差し出した。


「差し入れ。コンビニだけど」


すると咲斗の顔がパッと輝き


「なるチャン気ぃきくなぁ〜」


と言って袋をとろうとした。


けど


「ダーメ!勉強終わってからだから!」


すかさず綺亜羅がその手をはたく。


「…ケチ」


咲斗はほっぺたをふくらませてふいっとそっぽを向いた。


…ガキか。こいつ。

食べ物もらえなくてスネるとか何歳だ。

そしてそのガキみたいな仕草が様になっているのもどうなんだ。


…わざとだな。


綺亜羅は優しいから、そんなされたら1個ぐらいあげるだろう。


ここ1ヵ月一緒にいて、こんなかんじのやりとりは何回か見てきたからな。


けど…今日は許す訳にはいかないな。


スネる咲斗を見て、折れそうな綺亜羅に声をかける。


「綺亜羅……あげるな。ほっとけ」

「えっ?……あ、うん。蒼空がそう言うなら…」


素直にほっとこうとする綺亜羅。


「ちょ、蒼空チャン?それはないやろ!?ほっとけってそんなん……ってあれ?蒼空チャンそんなキャラやったっけ?」


ひとりでグダグダ言い始める咲斗。


「うるさい、咲斗」

「彼方も冷たっ!」

「………それでさ、蒼空。結局どの部屋ですんの?」

「え、無視!?」


咲斗のつっこみように、金髪と茶髪の女子2人が笑い出す。


「まじウケるんだけど」

「てか、神崎サンふつーにSだし」


その言葉につられて全員が笑い出す。