ブランコ








あたしがそう言うと、成瀬は優しく


「絶対に好奇心はない、とは言い切れないけど、少なくともうちが聞きたいと思う理由はそんなんじゃないよ」

「?」

「うちはただ蒼空のことを知りたいだけ。今までさ、蒼空のことって人の噂でしか知らなかった。まぁ、それを信じてたうちもバカだったけど…。だから、うちは蒼空のこと、蒼空自身から聞きたいな。こうやってその2人がこういう機会をつくってくれたわけだし」


そう言って微笑んだ成瀬の顔に最初にあった警戒感はなかった。


私はその言葉を聞いて、表情は変えなかったけど、内心はすごく驚いて咄嗟に何も言えなかった。


けれどだんだん、その言葉で


私を知りたいと思ってくれる
私を理解したいと言ってくれる
私を信じようとしてくれる


そんな人がいるってことが分かって
心にじんわりと暖かさが広がった。



なんだろう…この気持ちは…。



あったかい……。



首を傾げ、戸惑いつつも成瀬をここにつれてきた2人を見る。


2人供どこかホッとした様子で微笑んでいた。



えっと…
こういう時はなんて言ったらいんだっけ?

成瀬がこう言ってくれるのも
成瀬をここにつれてきたこの2人のおかげだよね…?



私は必死に頭をめぐらして、


「……えっと……、―――あ……りがと…?」


思い浮かんだ言葉を、蚊の鳴くような声でつぶやいた。



「………」



…2人の反応がない。


私は“間違ってたかな…”と不安になって2人の顔色をのぞくようにちょっとだけ顔をあげた。


すると


彼方も咲斗も驚いた顔をして、顔を見合わせていた。


私が見ていることに気付くと、2人供満面笑顔になって


「いーえ☆」

「どういたしまして」


と言った。





その笑顔で

また、心が暖かくなった。