けど
「ほんまに?」
「うそでしょ」
横から疑いの声が入った。
私はその声に少し驚いて2人の方を向き
「なにが?」
と、さも何も無かったかのように聞いた。
するといつのまにか携帯を閉じていた咲斗が
「なんか、あったやろ」
さっきの様子からでは想像できない真剣な顔でそう言った。
「なにも」
「じゃあ、なんで俺がさっき“蒼空チャンに電話繋がらへんかった”って言うたら“あれ、先生だったんだー”みたいな顔したん?寝てたんやったら分からんはずやろ?」
「……」
「なんか電話に出れない理由があったんやろ?」
…全部当たってる。
こいつさっき携帯しかみてなかったよね…?
なんで分かるの…?
…そういえば、咲斗って…どっかで聞いたことある名前だと思ったら……。
情報屋…だっけ。
そう思いながらそいつの方を見ると、そいつ…咲斗は相変わらず真剣な顔でこっちを見ていた。
そのとき、ずっと横でなにかを考えるようにして宙をにらんでいた彼方が、ふとなにか思いついたように顔をこちらに向けた。
そして
「親?」
と首をかしげ、小さくつぶやいた。
瞬間、ギクッと顔がこわばるのがわかった。
なんでそんな勘がいいの…。
私は小さくため息をついた。

