「まぁなぁ、蒼空チャン美人サンやからな。惚れてしまうのもしゃーないな」
咲斗は遠くを見つめながらそう言った。
「だろ?蒼空はそこらへんのモデルより絶対美人だって」
「あれはな。スタイルええし、すっぴんでもモデルよりキレイやし…文句なしや。せやから………モテることは、モテるんやで?」
「……やっぱりな。あれでモテなかったら、みんな高望みしすぎだろ」
俺は小さく笑った。
「せやな。でもな、たぶん蒼空チャンのこと好きになって蒼空チャンに話し掛けたの、彼方だけやと思うで?」
咲斗は眉間にシワを寄せて、たぶんその事に関する情報を思い出しながら、首をかしげた。
「……ありえな」
心底、驚いた。
「ありえへんよなぁ。好きなのに噂がなんたら言うて堂々と声もかけられへんやなんて…。あー…そういえば、彼方なんでぷっつり蒼空チャンと話さんよーになったん?」
咲斗が俺を見る。
…その事については聞いてほしくない。
そう思ったから俺は反射的に咲斗から目をそらし、目線を足元に落とした。
「……何か、やってしもたんやな?」
「……」
咲斗のため息が横から聞こえた。
「何したん?」
責めるでもなく、諭すように咲斗は言う。
その口調に更に罪悪感が増す。
「ーー…したっつーか、言ってしまったっていうか……」
つい声が小さくなってしまう。

