ブランコ






「神崎サンとは関わらない方がいいよ。榊くん」


…本人の目の前で…。


「どうして?」


幾分か低くなった榊の声が響く。


「だって…族とかヤクザとかしてるもん」

「そうだよっ!榊くんまさか脅されたりしてない??」

「怖いね…」


刺さるような嫌悪の眼差しに、侮蔑の入った声…。


最初の女子の一言で背中を押されたのか、女子がさまざまに喋りだす。


また始まった……。


小さくため息をついて視線を窓の外に移した。


やってられないな…。


こんな奴ら、相手にする方が馬鹿だ。


「ふーん…」


横から小さく榊が半信半疑の声をもらしたのが聞こえた。


これで、もうあいつも話しかけてこなくなるな…。













小さく胸が痛んだ気がした。