ブランコ





――ガラガラ



ドアを開け入ってきたのは男だった。

それも…



「………あ」



屋上にいた奴。


…編入生、だったんだ。

でも…普通編入初日の編入生がいきなり屋上で寝るか…?


そいつを見ると、そいつはスクバをからいながら誰がみても綺麗と思うような顔に涼しい微笑を浮かべ、教室に入ってきた。


「よし、お前自己紹介しろ」

「んー」

「じゃ、どーぞ」


担任がそう言いわきに避けると、そいつはゴホンっと咳払いをしてから話しだした。

「えーっと、初めまして。俺、榊 彼方(さかき かなた)っていーます。前の学校では、サッカーしてました。あとは…」

「趣味はとかは?」

「趣味は…音楽です。CD聞いたり、あとギター弾いたり」

「へぇ…ギターか」

「はい。じゃぁ、そんな感じで。ょろしくー」


そいつ…榊はペコっと頭を下げた。


「じゃあ、お前の席は…」


担任は教室を見渡し、私の隣の席に目をとめる。


「あーあそこだな。おい榊、あそこだ。一番うしろ。えーっとあれは…そうだ、神崎だ。神崎の横だ、榊」