「この声って、拓也と………。結!?」


自然と大きくなる飛鳥の声を封じる榊原先輩。


しっ。
人差し指を立て、唇の目の前に差し出すようなポーズ。

「聞こえるから。」


そうして、壁に耳をあてる先輩。
それに連れられて俺もやる。


「ん、」

「何だよ?」

「ねぇ、痛い?」

教室の中から聞こえる声。結の声が不思議と不安に聞こえる。


「これって、まさかのあれですか?先輩。」

あれはアレとしか言えないような会話。
でも…。


「結は、承諾しないだろ。」


そうは言ったものの…
結は、昔拓也の事が好きだったんだよな。
昔だ。昔…そう言っても掻き消せない事実。


何かムカつく…。

年下にムカつくって
情けな。俺。