「あーあー、もうアルティメットファイターはじまってるよ」

まるで我が家のようにテレビのスイッチを入れる理一

そしてその足で戸棚に向かうと、インスタントコーヒーを出した

「コーヒー入れるの?」と聞くとテレビから目をそらさずにうなずいている

「俺、食後は絶対ホットコーヒー飲みたい人なんだよ」

「じゃ、アタシいれるから座ってて」

「サンキュー」


アタシは小さめのやかんにお湯をわかしはじめた

マグカップに自分の分と理一の分のインスタントコーヒーと砂糖を入れる

理一はソファーに座らずアタシの横に立ったままテレビに見入っていた


「コスチェックには負けたくねーな」

「ジョルジュサンピエール、めちゃくちゃ紳士だもんね」

「だっろ~?ってお前詳しいね」

「さすがにこれだけ一緒に見てると覚えるって」


やかんがシュンシュンと徐々に湯気を吐き出している

「しかもジョルジュ、めちゃいい体やん?」

「キミ、そんなことばっか言ってると欲求不満みたいだよ」

……そういえば、今朝もとよきの体見てそんなこと言ってたなアタシ

やかんの火をとめると、カップにお湯をそそぐ
思ってたより勢いよく出たお湯がそれて、カップの取っ手を持っていたアタシの指にかかった


「アッツー!!!」


カップから手を離すとこぼしちゃうから、熱いけど冷静にテーブルに置いて
それからやかんを丁寧にコンロに置いた

そして、おもむろに

「熱い!熱い!痛い!!
アッツー!!!」

「何してんだよ、バカ」

大騒ぎするアタシの手をつかんで理一は流し台に行くと、流水にアタシの指をさらした

「ジンジンするー」

「やけどはまず冷やすの、知らねーの?」

理一はアタシから手を離すと、冷凍庫から保冷剤を取り出しに行く