アタシと理一はどっちが先に何を言うか、探り合うみたいに目と目を合わせた

「理一、朝まで手つないでてくれるんでしょ?」

「もちろん」

「良かった
じゃ、電気消すね」

と枕元のリモコンを取ると、サッと奪われて「豆電球な」と理一はオレンジの微かな明かりだけを残した

手をつなぎたいのに、理一の手はアタシの髪を撫でる


「理一……今日ね、百貨店で……さやかに会ったよ」

「ふ~ん」

「男の子にリングプレゼントしてもらってた」

「……そう」


「今日、とよきがな……理一はMJのところにリング持って行ったって言ってた」

「うん、やっとMJのお許しをもらった」

「理一にちゃんと聞けって、とよきに言われてん」

「……そう」


「学校で、チャコにも会った」

「うん……」

「あこの顔見たら逃げて行った」

「さすが」


「ナルと風香ちゃんが仲よさそうやった」

「仲イイよ、めっちゃ」


何が、言いたいんかな

自分でもよくわからないまま、今日の出来事を報告してる


「何が聞きたい?」

理一の声はアタシを安心させようとするみたいに丸くて温かい

髪を撫でる指がたまに首筋に触れてくすぐったい

何もかも聞きたくて、全てを知るのは怖い