☆ハイローハート

アタシとあこの予想通り、ジェットコースターは根こそぎダメらしいさやかとそんな女にメロメロの理一を置いて、アタシ達は絶叫系を制覇すべく楽しんでいた

行列して笑いながら楽しんでいる間、彼らがソフトクリームを食べたり、おみやげでおそろいの何やらを買ったりとデートを満喫していらっしゃるご様子が見える

「別に二人でデートできるやん」

「ここにたどり着くまでが無理だったんじゃない??」

「あの雰囲気やと、うまくいきそ」

「うまくいくでしょ、中学の時からさやかは理一が好きだもん」

「は??」

「理一、人当たりいいからね、結構モテモテだったよ」

「それ、早く理一に言ってあげた方がよかったんじゃない??」

「なんで?」

「なんでって……早くうまくいくやんか」


あこは暑いのか、髪をもちあげて首元をパタパタと手であおぎながらマジな顔でアタシを見た


「理一とさやかの行く末に興味はあるけど、応援はしてないもん」

「はい??」

あこは髪をおろすと、ジュースを買いに行ったナルととよきがまだ戻ってこないのを確認してほんの少しだけ声のトーンを落とした

「理一、モロの家に遊びに行ってるでしょ??」

「なんか、WOWOWの格闘技見に来てる」

「モロなら、応援するのにな~」

アタシが目をパチパチしてあこのセリフを咀嚼していると、更にあこが付け加えた

「さやかから取り戻してよ、理一」

「……取り戻すも何も、理一がさやかのこと好きなんやって」

「そっか」


離れたところで並んで座っている理一とさやかに再び目をやると、さやかが理一の前に手のひらを見せていた

あこがアテレコする

「“見て、さやか手が小さいの”
“ほんとだ、俺よりめちゃくちゃちっせえ”
“わあ、理一くんの手、男の人って感じ~”
……手を握るきっかけとしては、上出来だよ」

本当にその後、理一がさやかと手のひらを合わせて握り合ったから、あこのアテレコははずれていない