「うーん、それもわがままの部類には入るけど」と理一は細めた横目で口をとがらせているけど

「ヤッタ!!アタシもわがまま言えたっ!」

そんなアタシのセリフにため息混じりに笑った彼が、そっと腕をのばしてアタシを胸に抱いた


「みさきのわがまま、これから俺がぜーんぶきいてやる」

「ほんま?んーと、じゃあ~~
手をつないで寝てーー……朝まで手をつなぎつづける!」

「いいよ」

……いいの?


理一がアタシの手をとってベッドに寝転がろうとするから「ほんまにいいの?」と確認してしまった

アタシの枕に頭を置いて寝転がっちゃった理一

「俺としてはむしろ、そんな小さい願いでいいの?って感じだけど」

理一の横の細いスペースに足を折りたたんで座って「これって小さい願いかな?」と繰り返す

「うん、かなりね」


つなぎやすいように理一がアタシの手を握りなおした


今日は一日色んな人に会って、色んな人を思い出して、色んな感情にもまれて……

会いたい人にだけ会えない日だと思ってた


「朝まで一緒にいてくれるん……」

「いてほしいんだろ?」


いじわるに笑う口、優しい目

長めの髪と顔にできる影


「理一は、そうしたいと思う?」

そう聞くと理一は横向きにひじをたててそこに頭をおいた姿勢で、座るアタシを見上げた


「みさきがさ、俺に“理一のして欲しい事、全部してあげる”って言ってくれたの覚えてる?」

「……言ったっけ?
覚えてないけど」

「その時はみさきがどうゆう気持ちで俺にそう言ってくれたのか全然わかってなかったけど……
今ならわかるよ、本当に」

「そうなん?」