☆ハイローハート

郵便ポストの中の物を取り出して、確認もせずにベッドのうえにぽいっと置いた

制服を脱いで、冷え切ったリビングを薄着で通過し冷蔵庫の中身をあらためる

……何もないね


冷凍庫には火にかけるだけの鍋焼きうどん


先に、シャワー……あびよっかな


ぼんやりと歩いて帰って来たから時間はもう21時過ぎ

ケータイをチェックしても特に理一からのメールも着信もない


昼白色が灯る浴室で、熱めのお湯

湯気

曇った鏡

シャワーの音


タオルの匂い

体温を奪う冬の気温

歩くと鳴るフローリング

ベッドに置きっぱなしの部屋着を広げて、あたたかそうなもこもこトレーナーと、ウエストのすっかりゆるんだズボンをはく


再び洗面所に戻って、ドライヤー


熱風

耳元の轟音

冷たい足元

お風呂場の換気扇


ブラシも通さずに乾かし終えて、ふわふわする髪


ぺたぺたとリビングにハンディークリーナーを取りに行って

ぺたぺたと洗面所に戻ってくる


吸引力の弱さの割りにデカイ音

ウィーン……と余韻を残してその音が消え、洗面所の電気を消すと急に訪れた静けさ

世界がこんなに静かになる一瞬があるのかと、

もしかしてアタシだけ隔離されているのかと、

錯覚しそうな無音