* * * * *

理一は安静が続いていて、学校があるアタシ達は毎日お見舞いにいくことができなかった

モロにいたってはお見舞いに来てもいっつも理一が熟睡している最中で、いまだまともに顔を合わせていないらしい

そんな日が続いていた週末

モロは幾度目かの警察に行って、アタシととよきとナルは先に理一の病院に向かっていた

あの日のカブの不思議な話を「きっと、理一を起こしに来たんだな」ととよきは信じてくれている

でも実は、カブが理一のどこに飛び乗って起こしたのかは言えないまま

――カブが理一のちん××……にジャンプしてさ~~

と言えないのは、アタシのお育ちがいいからだということにして。


病院につくと理一の病室から女医先生が出てきて「あ、西田くん起きてるよ」と教えてくれた


理一ママが座る横で理一がぼんやりと目をあけている

「こんにちは」

「あ、あこちゃん、とよきにナルも来てくれたのね」

だけど理一はぼ~っと虚空を見つめている


「起きていてもまだなんとなくぼんやりしてるみたい」

とアタシ達の視線に気付いてママは立ち上がりながらそう言うと、「近くのコンビニに行って来るから理一見ててくれる?」とカバンを持った


「りいっちゃん、かっこい~ね~~
学校で株あがりまくりだよん」


理一ママが出て行くとナルがそう言ったけれど反応は薄い

というか、皆無


アタシも理一をのぞきこんで「あとでモロも来るよ?」と元気が出そうな事を言ったけれど効果はなかった


「理一??」

「……ねむい」


アタシの呼びかけに小さくそうこたえると、ゆっくりとまぶたが落ちていく

点滴がポトリ……ポトリ……と雫をたらすのが視覚的にもの悲しさを感じさせた


「寝ちゃった……」


と、アタシはさっきまで理一ママが座っていたイスに腰掛けた