国坂くんはちっともアタシを責めるような目をしない

「みさきちゃんのことが好きだけど、あんまり振り回されるのも……困るんだ」

この目がアタシにだけ優しいのも知っている

アタシにだけ微笑むのも知っている


目をギュッと閉じて「…………ごめん」と呟いた

今ですら感じる国坂くんの優しさ

「こっちこそ、ごめん
こんな時に言うべきじゃないって思うんだけど……」


アタシは首を振ると、もう一度「ごめんね、国坂くん」と声を出す


「恋愛と勉強の両立って難しいって事を勉強した」

「アタシは、アタシの内面を必要としてくれる男の人もいるんやって初めて思えた」


素直に真実を告げたのに、国坂くんはまずそうな顔をする


「俺は、自分からこんなに人を好きになることもあるんだって驚いた」

「あ、モテる男の発言」

「まあ、スキじゃない人にモテても仕方ないけど」

「……結構言う……」

「俺にとってのみさきちゃんのような存在に、俺もなりたかったよ」

「??????」

「みさきちゃんに必要とされる男になりたかったって事」


アタシは思わず「必要やった!!」って大声で反論してしまった


「日本に帰って来て、毎日ほんわか過ごせたのって国坂くんがいたからやし……
今でも国坂くんの隣にいたら絶対幸せになれるって思ってるし」

「え?」


恋をマイナスで終わらせたくない

お互いに、出会ってよかったって思えるように、離れたい


「頭では……わかってるんやけど……」

とアタシの語尾が細く消えていく