デートって毎回スペシャルイベントがあるわけじゃなくて、しかも国坂くんは受験生だし!

「図書館行く?」

「ん~~、毎回図書館だし……
たまにはみさきちゃんのしたいことに付き合うよ」

「なんやろ……
広島に広島焼き食べに行っておみやげにもみじまんじゅうチーズ味を買いたいとか」

「ごめん、無理だった」

「特に行きたいところとかないよ?
国坂くんが勉強できるところでいいし、あ!でも言うならこないだ飲んだタピオカ入りの台湾ミルクティーが飲みたいかな」

「じゃあ、それ飲んだら俺の家行こうか」

「国坂くんの家??
行きたい行きたい!!めっちゃおしゃれそう~~」

「……普通だけどね」

「革張りのソファーにブランデーグラスとかありそう」

「俺おっさんじゃないから」

「ベッドの下見ていい?」

「いいよ」

「じゃあ……机の一番下の引き出し!」

「いいよ」

「見られたくないところないの?」

「あるけど」

「どこ?」

「見られたくないから言えない」

国坂くんは余裕そうな表情で前を見据えて涼しく笑っている

淡いブルーのシャツにゆるゆるのネクタイ

なのにめがねの奥の目が理知的で、いつもキレイな革靴だから全然だらしなく見えなくて……


あ、ほらまた女子大生風のお姉さんが国坂くんを見た


アタシも通学途中、あこのチャリの後ろに乗りながらついつい国坂くんを見ていたことを思い出す

「そうだ、家にある英語の問題集の長文でどうも理解できないところがあって、みさきちゃんに見てもらおう」

「任せてよ」