「お前は相変わらず理一のことだけはすげー気にかけるよな」

え?
いつもかなり冷たくあたってると思うんだけど……

「幼なじみってそこまで仲イイもん?」

「アタシは理一よりモロのことを気にかけてるんだよ」


とよきは時計をチラリと見るとイスに座っているアタシのひざに手を置いて体を近づけてきた


「……で、なんで俺に怒ってんだよ」

「別にって言ってるでしょ」


と彼の肩を両手で押そうとすると、一瞬早くとよきの両手がかさなってきて、指を組まれてしまった


「じゃあいいけど」

と顔を寄せてくるから、背けて避ける

「怒ってないなら、なんでイヤなわけ?」

と、聞かれてもアタシは実際怒ってはいない

劇的にしらけてるだけ

……つまんない


「俺、夕方から用事があるから、仲良くするなら今だけど」

“仲良く”って……乙女みたいな言い回し

ってゆうか、日曜日なのに用事って何??

その質問はアタシの口からは決して出ない

肝心なことは言えない

わざと怒らせるようなことは簡単に口をついて出る

「用事があるなら最初から来なきゃいいのに」


パッととよきの手がアタシから離れていった


「アタシが会いたいって言ったわけじゃないし
エッチしたいだけならもう帰って
悪いけど、アタシそういう気分じゃない」

とよきは一瞬でカバンを持って立ち上がるとアタシの部屋のドアを乱暴にしめて出て行った

カチンときたアタシは「サリーとカブがドアに挟まったらどーすんのよ!」と大声で追撃

とよきは返事もせずに玄関をでて、ドアを必要以上に力いっぱい押したせいで大きな音が響き渡った


サリーがアタシを責めるように「ニャー」と鳴いた




「アウト オブ コントロール」の巻