掃除機が鳴っている
一年分蓄積されたほこりを吸って、新しくはじめるために
その新品のソファーに並んで座ってテレビを見るのは、俺がいい
このダイニングテーブルに座ってコーヒーゼリー食ってるみさきを見るのは、俺がいい
開け放された寝室から見えるベッドは以前のままで……
俺が少しだけこの家に残ってる感じがして安心した
「今日はあの子きてないんだ」
国坂の言葉にみさきが「あの子?」と首を傾げた
「一度会った、“キャー”って鼻血出しそうだった子」
「ああ、ちひろ??
ちひろはプライベートで一緒に遊ぶほど仲イイわけじゃないねんけど……
なあ、あこ」
みさきは雑巾片手に通りがかったあこを呼び止めた
「ん?」
「最近ちひろは?」
「ちひろはちょっと前に失恋して、髪をあごくらいまで切ったのね
んで、そのちひろの髪を切った美容師と今つきあってる」
国坂とみさきは顔を見合わせると笑いあった
「あの子らしいな」
って言ってるけど国坂は知ってるのか、そのちひろって女
……なんで??
国坂とみさきの間に割り込めない何かを感じて、モヤモヤする
明らかにそこには俺の知らない時間が存在して、そのイヤな感じに潰されそうになる
みさきと離れていた時間は平等に1年間のはず
なのに、なんだこの圧倒的疎外感
今座っているこの距離さえ、俺とみさきの間に国坂がいて阻まれている
カフェオーレを飲みながらまばたきを繰り返していると視線を感じてみさきを見た
明らかに俺を見ていたみさき
その瞳の中にある物を以前はちゃんと感じられていたはずなのに、今はわからなかった
そこに何かがあるのはわかっているのに
一年分蓄積されたほこりを吸って、新しくはじめるために
その新品のソファーに並んで座ってテレビを見るのは、俺がいい
このダイニングテーブルに座ってコーヒーゼリー食ってるみさきを見るのは、俺がいい
開け放された寝室から見えるベッドは以前のままで……
俺が少しだけこの家に残ってる感じがして安心した
「今日はあの子きてないんだ」
国坂の言葉にみさきが「あの子?」と首を傾げた
「一度会った、“キャー”って鼻血出しそうだった子」
「ああ、ちひろ??
ちひろはプライベートで一緒に遊ぶほど仲イイわけじゃないねんけど……
なあ、あこ」
みさきは雑巾片手に通りがかったあこを呼び止めた
「ん?」
「最近ちひろは?」
「ちひろはちょっと前に失恋して、髪をあごくらいまで切ったのね
んで、そのちひろの髪を切った美容師と今つきあってる」
国坂とみさきは顔を見合わせると笑いあった
「あの子らしいな」
って言ってるけど国坂は知ってるのか、そのちひろって女
……なんで??
国坂とみさきの間に割り込めない何かを感じて、モヤモヤする
明らかにそこには俺の知らない時間が存在して、そのイヤな感じに潰されそうになる
みさきと離れていた時間は平等に1年間のはず
なのに、なんだこの圧倒的疎外感
今座っているこの距離さえ、俺とみさきの間に国坂がいて阻まれている
カフェオーレを飲みながらまばたきを繰り返していると視線を感じてみさきを見た
明らかに俺を見ていたみさき
その瞳の中にある物を以前はちゃんと感じられていたはずなのに、今はわからなかった
そこに何かがあるのはわかっているのに



