「んー」と小さく言いながらMJはタロットの束をそろえている
すると、また一枚タロットが手から滑り落ちた
「どうも今日は調子がよくないみたい」
とMJは肩をすくめて言う
タロットカードが目の前まで滑ってきたあこはそれを指でつまんでMJに見せた
あこの目に浮かぶ意思を読み取ったのか、カードの意味を読み取ったのか
MJは「わかってる」と返事をして、あこの手からタロットカードをスッと引き抜くと細く長く息を吐いた
「幼い頃から、この家の稼業のせいで大人によく陰口を言われたわ
あの子の家に行くと物を売りつけられるとか
危険な宗教の盲信者だとか」
MJがテーブルに置いたカードには星の絵が描いてある
「それを聞いた子供は素直に私を仲間はずれの対象にした
“触ると呪われる”
なんて、まるで汚い物扱い
お友達はタロットカード
暇があれば水晶をのぞいてた」
沈んでいく太陽が水晶に反射して、天井に幻想的な光を投じている
「母親の元にくる相談者を相手にお遊びでタロット占いをしていただけなのよ、本当は……
だけど、幼い頃から母親の横で大人たちの悩みを聞いていたからかしら?
人の心をのぞきこむのが得意になってしまった
小学生や中学生の私が大人びたことを言うものだから、相手は当然驚いて……
そして私のことを本物だと勘違いしたのよ
こんな事で、私は他人に認めてもらえるんだと思えば、それで自分をガードするでしょ?
私は、そうすることで、自分を保ってきたの」
神妙な顔にならざるを得ない俺たちを見て、MJは「話が脱線しすぎね、ごめんなさい」と謝ると
「目の前で堂々と“霊感商法だ”なんていわれたのは初めてだったの
あことモロは、陰口を言わないのよ
目の前で失礼なこと言うの
笑っちゃうでしょ」
と言い、だるそうに髪を耳にかけて「調子狂う」と嘆いた
すると、また一枚タロットが手から滑り落ちた
「どうも今日は調子がよくないみたい」
とMJは肩をすくめて言う
タロットカードが目の前まで滑ってきたあこはそれを指でつまんでMJに見せた
あこの目に浮かぶ意思を読み取ったのか、カードの意味を読み取ったのか
MJは「わかってる」と返事をして、あこの手からタロットカードをスッと引き抜くと細く長く息を吐いた
「幼い頃から、この家の稼業のせいで大人によく陰口を言われたわ
あの子の家に行くと物を売りつけられるとか
危険な宗教の盲信者だとか」
MJがテーブルに置いたカードには星の絵が描いてある
「それを聞いた子供は素直に私を仲間はずれの対象にした
“触ると呪われる”
なんて、まるで汚い物扱い
お友達はタロットカード
暇があれば水晶をのぞいてた」
沈んでいく太陽が水晶に反射して、天井に幻想的な光を投じている
「母親の元にくる相談者を相手にお遊びでタロット占いをしていただけなのよ、本当は……
だけど、幼い頃から母親の横で大人たちの悩みを聞いていたからかしら?
人の心をのぞきこむのが得意になってしまった
小学生や中学生の私が大人びたことを言うものだから、相手は当然驚いて……
そして私のことを本物だと勘違いしたのよ
こんな事で、私は他人に認めてもらえるんだと思えば、それで自分をガードするでしょ?
私は、そうすることで、自分を保ってきたの」
神妙な顔にならざるを得ない俺たちを見て、MJは「話が脱線しすぎね、ごめんなさい」と謝ると
「目の前で堂々と“霊感商法だ”なんていわれたのは初めてだったの
あことモロは、陰口を言わないのよ
目の前で失礼なこと言うの
笑っちゃうでしょ」
と言い、だるそうに髪を耳にかけて「調子狂う」と嘆いた



