☆ハイローハート

「理一、今日も泊まるつもり?」

「え、もちろん」

「…………」

返答に困っていると、ソファーに置きっぱなしの“ブツ”に目をやって「あんなにいっぱい持ってきたし」とか言う


……いやいや、ムリムリ
あんな手加減なしのエッチ、一晩中したらこっちの体が持ちません……

ってそうじゃなくって……!!!


「絶対みさきって一度は拒否するよな」

「するに決まってるやんか……知らんねんやったらまだしも、アタシさやかの顔まで知ってるし」

「ああ……」

「アタシ、女の子と男巡って争いたくない……」


理一が黙ってドーナツを食べ出した

“禁句”だったのか、軽くスルーされた事に寂しい感情を抱きながら、テレビへと目を移す



黙々とドーナツを食べて、ホットコーヒーを飲みながら携帯を手に取った

さっき“お取り込み中”の時にメールを受信していたらしい


タイトルはやっぱり「国坂です」
本文は「明日は晴天だそうです おやすみなさい」だった

たどたどしい感じが、ホントにメールしたことないんだなってあらわしている


「梅雨前なので、晴天は貴重ですね、おやすみなさい」と返信した


携帯をカタンと置いてお皿を持って立ち上がった


キッチンにお皿を置いて振り返ると目の前まで来ていた理一がアタシ越しにお皿を流し台に置く


「び……っくりした」


って言い終わる前に目が合った彼に口をぶつけられて、アタシが身動きがとれないように腕ごとだきしめたまま動くから足がもつれそうになる


「っ理一……」