☆ハイローハート

理一はそんなアタシの体を挟む体勢に足を動かすと、腰と背中をギュッと抱きしめた

「みさき、いい匂い」

甘い声

「理一もいっしょの匂いやよ」

そう答えて、理一の首にまわす腕に少しだけ力を入れて顔を寄せた

「昨日の夜からさ、トイレと風呂と着替え以外はずっと一緒にいねえ?」

「うん……」

抱きつくアタシの腕に顔をこすりつけて「サラサラ……」と理一が目を閉じた

それと同時に彼の手が動いてTシャツの中に入ってくる


アタシは少しだけ体に力を入れるとその手をつかんで拒んだ

「ストップ……」

という言葉を防ぐように唇が押し当てられて、手を振り払われてしまう

「んん……」

何の滞りもなく絡まる舌に言葉を発せなくて、アタシのうめく声だけが喉からもれる

振り払われた手を理一とアタシの触れ合う胸の間に差し込んで相手の体を押したけど、全然敵わなくて、キスで声を奪われたままどうしようもならない


ギュウウウウ~って抱きしめられて、深く舌が混ざり合う

キスって、不思議

脳が、アタシに力を抜けって指令してくる

アタシの脳なのに、コントロールできないの

端に追いやられそうな理性の糸をつかんでおぼれないように


……したいのに


どうしてこんなに溶けていくんだろ……


彼女がいる男と、キスするのは初めてじゃない

だけど、アタシが相手の事をここまで好きだったことはないから、怖い


怖いよ、理一……


理一の首にしがみつくと、それ以上の力で抱きしめられて、何もかもがフッとアタシの頭の中から消えた