☆ハイローハート

シャワーからあがってきた理一に冷たい麦茶を出して、アタシもシャワーを浴びに行く

チェリーブロッサムのボディーソープを使った形跡と匂い……


理一のヤツ、体からこんな匂いさせてどーすんねんッ

と小さく笑う


アタシはさっき一瞬だけみた映画のおかげでホラー濃度があがっていて、いつもよりも早くシャワーを済ませた

大急ぎでチェリーブロッサムのボディクリーム

水玉のTシャツとやっぱりショートパンツを履くと、ドライヤーを持ってリビングに戻ってきた


「暑い~」

と扇風機をまわしてその前を独占し、ドライヤーをコンセントにさすとダブルの風で髪を乾かし始めた


「ほんと暑がりだな」

その様子を見ながら理一がお茶を飲んでいる

「この方が早く乾くねん」

と貞子のように髪を振り乱して乾かしていると、髪の隙間から見えた理一がスーハースーハー深呼吸している


「……何してんの?」

「いい匂いが運ばれてくるから、深呼吸」

「あ、そういえば、理一もチェリーブロッサムのボディソープ使ったやろ」

「使った、あれめちゃくちゃみさきの匂いすんね」

「そう?」

「香水とかつかわねーの?」

「……鼻痛くなんねん」


理一は相変わらず大きく鼻から息を吸いながらちょっと吹き出している


髪を乾かし終えると、持ってきていたクリップでゆるいアップにした

「ドーナツ食べる?」

「俺まだ腹減ってない」

「じゃ、もう少し後にしよっか」

「モンスター見ようゼ」

さっきのゾンビドラキュラ映画がまだ続いていた