☆ハイローハート

「これ貸してあげる、ミキサー車」

男の子にミニカーを渡された

「……これ、ミキサー車って言うの?」

「そうだよー、こっちはー、コマツブルドーザー」

……メーカー名までちゃんといえてるやんっ

見せてくれたミニカーにはKOMATSUと書かれてあって感心する


「見てて」

と男の子はミスドのトレイにコマツブルドーザーをガッシャンと衝突させて「ガガガガガッ!」と押していく……

「ちょちょちょっと、そんなんしたら割れてまうやんか
壊れてしまうから、優しく優しく」


思わず店員がこっちを見ていないか確認したけれど、誰も見ていなかった


理一がトレイに色々のっけてやってくるとアタシの向かいに座る


「お兄ちゃん、誰?」

「……」


理一はその男の子の顔を(ん?)と見ている


「お姉ちゃんは僕と遊んでるから、お兄ちゃん帰っていいよ」

「このお姉ちゃんは、お兄ちゃんが連れてきたんだぞ」

理一がそう言うと、男の子はちょっと悔しそうな、それでいて悲しそうな顔をして「お姉ちゃんは、僕と遊ぶよね?!」とアタシを見た

「このお姉ちゃんは俺のなの、だからダメー」

「もう理一、子供をいじめるな!!」

といさめたけど……


“俺の”って言った、今……



「すいませーん、……もう!
邪魔しちゃダメでしょ」

お手洗いから出てきた母親らしき人物が、男の子の手を引いてこちらに頭を下げながら歩いていった


「あ!ミキサー車!」

と男の子を追って、その小さな手に返すと、バイバイとミニカーを握り締めた手を振ってくれた


「バイバイ」