☆ハイローハート

休日

昼過ぎ

自転車

風の中に聞こえる理一の声

少し遠回りして通った市民公園の中からは、噴水で遊ぶ子供たちのはしゃいだ声が聞こえてくる


「アタシ?
アタシは……ジョシュ・ハートネットやな」

「誰だよ」

「ハリウッド俳優やん!
もう、頭のてっぺんから足の先まで好き」

「……へえ」

「ジョシュが着てるシャツに入るしわまで好き」

「そういやあこも“全てを捨ててもいいと思える男はジョニー・デップだけ”とか言ってたな……
キミら、そういうとこまで似てんね」


理一と話していてもあことの共通点がたくさん出てくるって、すごい


駅の建物が見えてくるとアタシは自転車を降りて、理一は近くの銀行の前に自転車を置きに行った

駅の階段をあがると自動券売機の向かいにミスドがある

その階段の下でアタシが理一を待っていると、どこかから聞こえる口笛

まわりを見回すと、大学生風の男二人がこっちを見ていて、手を振られてしまった


……目が合った


と視線を逸らすと、またこっちの注意をあおぐように口笛が聞こえてくる

チャリキーを手の中でポンポン跳ねさせながらやってくる理一が見えて、そっちに歩み寄った

階段をあがりかけた理一についていくと、突然理一が止まってバッと振り返る


「……どーしたん?」


と面食らって聞くも、理一はアタシをじっと見て、アタシの背後を見ると、せっかく昇った階段をおりてしまう


「忘れ物?」

「こっち」

と手を引かれたのは、階段横にひっそりとある小さなエレベーターだった