「はいはい。行くぞ」
「うん」

ちなみに、今日襲ってきた魔物以外は全て、澪が葬っているのは女と間違えたからだ。

「…まったく。僕はそんなに女の子みたいなのか?」

プリプリ怒りながら澪は優輝に尋ねる。

「まぁな。小さいし華奢な体つきだからな」
「優輝もそう思うのか?」
「いや。初めてお前と会った時は思ったけど、今は思わないな。意外に腹は6つに割れてるしな」

どうやら澪の腹は6つに割れてるらしい。

「ちょっぴり鍛えてたから」

嬉しそうに笑いながら澪は答える。

「さてだ。金品も巻き上げたし、行くか」
「そうだね」

いつの間にか、男から金品を巻き上げたらしい…。
コイツらのがほうがよっぽど盗賊に思える…。悪魔だ。

「んで?こっちで合ってんのかよ?」
「うん。向こうから美味しそうな臭いがする」
「食い物かよ!!」

平和な草原に、二人の声が響き、二人が通った後にはいくつもの消し炭が倒れていた。

しばらく、盗賊や山賊や海賊などのならず者たちの間では、金髪と黒髪の二人組を見かけたら無視して逃げろ。
そして、黒髪のほうには女というような発言はしてはいけないという決まりができた。

この日を境に、二人はならず者達の間では、

『関わってはいけない二人組』

と呼ばれるようになった。